未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

なぜ君は絶望と闘えたのか、門田 隆将著、読了

なぜ君は絶望と闘えたのか―本村洋の3300日 (新潮文庫 か 41-2)を読んだ。

たまたま図書館でみつけてぱらぱらめくってみてそのまま借りて一気に読んだ。

1999年に起きた光市母子殺害事件の犯罪被害者本村洋の物語である。主婦と11ヶ月の乳児が殺害された。
光市母子殺害事件 - Wikipedia
犯人は犯行当時18歳だったため、少年法によって保護され、実名での報道はされなかった。そして当時の司法では最大量刑でも無期懲役で、7年服役すれば仮出所ができるという。
犯罪者は少年法によって手厚く保護されるにも関わらず、被害者はまったく救済されないのが実情であった。本村洋の闘いはそのような司法に対する闘いでもあった。犯罪被害者の会を組織し、世論を動かして行く。そして本村らの運動により犯罪被害者等基本法が施行される。

被害者は裁判の傍聴するにあたってなんの配慮もされていなかった。本村が妻と娘の慰霊を持ち込もうとすると「荷物」は持ち込めないと裁判所の職員に止められた。「裁判官は、被害者に会う義務もないし、あなた方は裁判官に会う権利もない」、中略、「裁判というのは、裁判官と検事と被告人の三者でやるもので、被害者には特別なことは認められていない」(単行本114ページ)

山口地裁、無期懲役判決。検察が控訴。広島高裁、控訴棄却。検察が上告。犯罪被害者等施行。最高裁、二審判決を破棄、広島高裁に審理を差し戻す。差し戻し控訴審で死刑判決。死刑確定。弁護団、再審請求。

裁判とはなにか、司法とはなにか、被害者家族の保護とはなにか、様々なことを考えるきっかけになる。衝撃をうけた、重たい一冊である。