未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

虚数の情緒、第1部独りで考えるために0章方法序説:学問の散歩道、読了

数学の教科書をガッツリ読みたいプロジェクト (id:hyoshiok:20160312:p1) で最初に読む本は虚数の情緒―中学生からの全方位独学法にした。

中学生からの全方位独学法と副題がある。

1000ページを超える大著である。読む前からビビる。一気に流し読みにするというようなことはできない。途中で挫折した人もいる。一気に読むことができないなら、途中経過を日記に記すことにする。

数学の本は、読んで考えて理解して、読んで考えて理解することの繰り返しになる。読んでわからなければじっくり考える。じっくり考えてもわからなければもっと考える。それでもわからなければ、とりあえず、そこの部分はなかったことにしてもう少し先まで読む。そして考えて理解してを繰り返す。

理解したことをぼちぼちメモって自分の理解を確認する。メモを書いている時に疑問が湧くこともある。自分の理解が間違っていることに気がつくことがある。そして正しい理解に近づくこともあれば、誤解したまま進むこともある。それを含めての読書体験である。

巻頭言
さあ諸君(しょくん)、勉強(べんきょう)を始(はじ)めよう勉強を、数学(すうがく)に限(かぎ)らず、凡(およ)そ勉強なんてものは、何(なん)だって辛(つら)くて厳(きび)しい修行(しゅぎょう)である。然(しか)し、それを乗(の)り越(こ)えた時(とき)、自分(じぶん)でも驚(おどろ)く程(ほど)の充実感(じゅうじつかん)と、学問(がくもん)そのものへの興味(きょうみ)が沸(わ)き起(お)こってくる。昔(むかし)から、楽(らく)して得(え)られたものなんて、詰(つ)まらないものに決(き)まっている。怠(なま)けを誘(さそ)う甘(あま)い言葉(ことば)は、諸君(しょくん)に一人前(いちにんまえ)になって貰(もら)いたくない、という嫉妬(しっと)である。思(おも)い切(き)り苦労(くろう)して、一所懸命(いっしょけんめい)努力(どりょく)して、素晴(すば)らしいものを身(み)につけてようではないか。

原文は初出の漢字にルビがふってあって、中学生でも読めるようにしている。若干やりすぎの気もしないではないが、慣れると気にならない。

構成は、0)方法序説:学問の散歩道、1)自然数:数の始まり、2)整数:符号を持つ数、3)有理数:比で表せる数、4)無理数:比で表せない数、5)実数:連続な数、6)実数:拡張を持つ数、7)虚数:想像された数、8)指数の広がり、9)虚数の狭間:全数学の合流点、10)物理学の出発点:力学、11)重力と振子の饗宴、12)波と粒子の狭間で、となっている。1章から9章が数学で、10章から12章が振子の科学となっている。

この大著の最初の0章方法序説:学問の散歩道を読んだ。最初のうちは数学の話はほとんど出てこないで、なんで数学を学ぶのかとか科学と技術のこととか、物理と数学の関係とか、知性とは何かということについてこれでもかこれでもかと著者の持論が展開される。お腹いっぱいであるが、このような著者の立ち位置を明確にするというスタンスはすばらしい。

理系、文系という言い方がある。著者はその分類そのものを有害だと断罪する(58ページ)。

本書を読んで数学を好きになるのか、苦手が克服できるか。読者次第である。

0章を読んだだけではあるが、残りの章をじっくり読んでみたいと思った。本書の魅力をほとんど伝えられないのが残念だ。この独特の世界観を是非数学嫌いの人にこそ味わってほしい。