未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

幽霊たち、ポール・オースター著、柴田元幸訳、濫読日記風、その48

幽霊たち (新潮文庫)を読んだ。

この本を読むきっかけはスミスの本棚 新しい自分が見つかる読書、テレビ東京報道局編著、濫読日記風、その42 - 未来のいつか/hyoshiokの日記で紹介されていた一冊だったからだ。(倉持裕、劇作家・演出家、159ページ)

冒頭からしてすごい。

まずはじめにブルーがいる。次にホワイトがいて、それからブラックがいて、そもそもの始まりの前にはブラウンがいる。ブラウンがブルーに仕事を教え、こつを伝授し、ブラウンが年老いたとき、ブルーが後を継いだのだ。物語はそのようにして始まる。舞台はニューヨーク、時代は現代、この二点は最後まで変わらない。(中略)やがてホワイトという名の男がドアを開けて入ってくる。物語はそのようにして始まる。

ホワイトからの仕事は、ブラックという名の男を見張り、必要がなくなるまでつづけてくれと。週に一回の報告書をホワイトに提出すると、小切手が送られてくる。ホワイトはブルーのために、ブラックのアパートを監視するための部屋をあらかじめ確保してある。

ブルーは見張り続ける。特に目立った動きはない。事件が起こることを待ち望むのだが何も起きない日々が続く。ブラックは何をしているのか、なぜホワイトはブルーにそのような仕事を依頼したのか。謎は一向に解明されない。

ポール・オースターの代表作と言われているらしい。

ミステリー仕立てで、あっという間に読める。グイグイ不思議な世界に引き込まれた。不条理的な読み方もできて面白かった。

なお、三浦雅士の文庫本解説があるが、本文のネタバレがあるので、最初に読まない方がいい。というか文庫本にこの解説が必要だったのかという疑問も残る。

「ガラスの街」、「鍵のかかった部屋」(「幽霊たち」にならぶニューヨーク三部作)も読んでみたいと思った。



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