図書館に訊け!、井上真琴著、読了、濫読日記風 2018、その29
図書館に訊け! (ちくま新書)を読んだ。
図書館が好きだ。地域の図書館が好きだ。学校の図書館が好きだ。子供の頃から好きだった。
好きなわりには図書館を使いこなしていない。図書館の良さを引き出しきれていない。そんな気がする。
図書館を仕事や調べ物をするツールとしてどのように使うか、そのような視点で本書は書かれている。
もちろん、図書館を大好きな本がいっぱいある場所として特に目的もなく棚を眺めたりぶらぶらする場所として使ってもいいが、本書はそのような立場ではなく、あくまでも調べ物をする場所としての使い方を紹介している。
ネットには様々な情報が溢れているが、ご存知の通り玉石混合だ。書籍の場合、編集というプロセスを経ているので、最低限の品質は担保されている。書籍ならではの網羅性や一貫性もある。
今だに読まれている名著には名著なりの理由がある。時間という激しい選別から生き残っただけの生命力が名著にはある。
新刊書を探すだけならネット書店や大規模書店で事足りるが、書店は基本的には出版されてから半年程度の本がほとんどでちょっと昔の本は置いていない。もちろん品切れや絶版の書籍などはあるわけもない。
本書は図書館との付き合い方を多面的に紹介している。
本書は図書館利用の心得として、1)ベースキャンプとなる図書館を決める、2)多様な資料の世界を知る(2章)、3)目録の本質を知る(3章)、4)レファレンスブックの利用を覚える(4章)、5)わからないことがあれば図書館員に訊く(5章)という方法を紹介している。(19〜20ページ)
例えば、学術研究の基本スタンスとして、1)先行研究がないことを確認する、2)研究のこれまでの最新成果・立脚点を把握する(42ページ)というプロセスでの図書館の利用方法を説明している。
「大学は知識の断片を学ぶところではない。むしろ、知識の体系・方法を学ぶことを目的とする教育研究機関なのだ」(45ページ)
アカデミアというコミュニティーで広く信じられているパラダイムを学ぶ場所でもある。
資料の検索・探索の仕方なども具体的に記述してあるので参考になる。
どうしてもオンライン検索だけに頼りがちだが、というかそれくらい知らないので、多様な方法があることを知ることは重要だ。専門図書館の利用やレファレンス書籍など自分があまり行ったことがない方法も試してみたい。
網羅的な調査には図書館の利用が欠かせないと理解した(3章、4章)
レビュー論文(サーベイ論文)などを効率的に探し出すようなスキルが必要だ。
研究者の卵として、自分なりに自分の研究分野のサーベイ論文を試作する。図書館を使いこなす練習としてそのような作業が必要だ。
本書を参考に図書館を使い倒してみたい。研究者の卵として図書館を使い倒せないとやばい。そう思った。
濫読日記風 2018
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