未来のいつか/hyoshiokの日記

hyoshiokの日々思うことをあれやこれや

虚数の情緒、5章 実数:連続な数まで読了

虚数の情緒―中学生からの全方位独学法読書の続き。

1週間で1章かあ。なかなか進まないけど、まあいい。

知識として知っていることと理解していることの差を本を読みながら確認しているところである。自然数は数えるときに使うし、有理数は比で表せる数だし、無理数は比で表せない数だ。などということは知識として知っている。

理解しているということはどのようなことなのだろうか。それは、その本質を説明できることだ。

例えば、3章で「有理数の濃度は自然数の濃度に等しい」というようなことが出ている。知識としては知っている。十分理解しているかと言われると心もとない。人に説明できるか。今なら本書を読んですぐ記憶が新しいので、説明できそうだ。人に説明できれば、一応理解したと言ってもいいだろう。ある公式を証明できることも理解した証になる。

無理数と音楽の関係が4章に出てきた。そこで十二平均律というのを知った。なんだかピンとこなかったがピアノの調律は半音を2の十二乗根でするという知識を得た。一オクターブには半音が12個あるので、オクターブ上の音の振動は倍になる。倍の振動の音は聞いていて気持ちが良い。

ただこれだと、和音(ドミソとかファラドとかシレソ)の振動数が整数比にならないので若干響きを犠牲にしている。そこでそれを整数比にした純正調音律というのがある。というような知識を得たのだが、正直言って誰かに説明できるとは思えない。よーするにちゃんと理解していないような気がする。

5章も実数の濃度(ℵ)が自然数の濃度(ℵ0)とは異なるというようなことが書いてあって一気に理解が追いつかなくなった。p349

区間(0、1)内の実数を数えて番号を振るというような話が出ているのだけど、その記法がよくわからなかった。カントルの対角線論法という単語も出てきた。よくわからないので、よくわからないまま、次に進むことにした(おい)p352

まあ、そんなこんなであるが、5章まで読み終わった。

もう一度、実数の濃度の説明に立ち返ってみた。「自然数を用いて番号附ける」ことができれば、自然数と同じ濃度である。仮に番号をくまなく附けられたとしよう。その集合の中に絶対含まれない数を作ることができて、それはすべての実数に番号をつけることができるという仮定に反するから、自然数と同じ濃度であるという仮定が間違っていることになる。自分でもよく理解できていないことがよくわかる。

対角線論法なんてものをよく思いついたものだと感心する。

ピアノの調律といえば、「羊と鋼の森」を読んだのだけど、調理師の卵とピアニストを目指す双子の姉妹(女子高生)の物語は読後が爽やかだった。十二平均律とか純正調音律とか本書を読んでいたおかげでなんとなく馴染みがあった。数学と音楽の関係は奥が深い。

http://www.press.tokai.ac.jp/bookpub.jsp?isbn_code=ISBN978-4-486-01485-0
虚数の情緒
中学生からの全方位独学法
第I部 独りで考える為に
0章 方法序説:学問の散歩道
0.1 数学教育の問題点
 0.1.1 数学は積み重ねか
 0.1.2 数学は暗記科目か
 0.1.3 数学は役に立つか
0.2 選択の自由と個性
 0.2.1 選択の自由とは何か
 0.2.2 個性とは何か
 0.2.3 生き甲斐とは何か
0.3 子供とは如何なる存在か
 0.3.1 子供は無邪気か
 0.3.2 子供は自分をどう見ているか
 0.3.3 「民主主義」とは何か
0.4 文明と文化と
 0.4.1 読書の意味
 0.4.2 時代の表記法:干支と元号
0.5 「科学」と「技術」
 0.5.1 歴史小説と歴史年表
 0.5.2 狩猟民族としての科学者
 0.5.3 適性を見抜く
 0.5.4 高次のロマンを求めて
0.6 物理と数学の関係
 0.6.1 数式と記号:なぜ数式を用いるのか
 0.6.2 推論の道具として
 0.6.3 帰納と演繹
 0.6.4 特殊から一般へ
0.7 数学を敬遠するとどうなるか
 0.7.1 人を愉しませる文化
 0.7.2 無意味な区分け
 0.7.3 二分法を越えて
 0.7.4 マスコミの影響
 0.7.5 人文嫌いは何故生まれるか
 0.7.6 数学に挑む
0.8 知性の誕生
 0.8.1 宇宙の誕生
 0.8.2 物質の誕生
 0.8.3 星の誕生
 0.8.4 太陽、地球、そして生命の誕生
 0.8.5 人類の誕生
 0.8.6 文化の誕生
 0.8.7 我々は如何なる存在か
0.9 旅立ちの前に
 0.9.1 研究とは何か
 0.9.2 ものの見方
 0.9.3 過去の全人類の頭脳の集約として
 0.9.4 第一部の終りに

第II部 叩け電卓!掴め数学!
1章 自然数:数の始まり
1.1 すべては自然数から始まる
 1.1.1 素読の勧め
 1.1.2 計算の初め:九九
1.2 計算の規則
1.3 数の原子:素数
 1.3.1 素数素因数分解
 1.3.2 エラトステネスの篩
1.4 約数と倍数
 1.4.1 原子論
 1.4.2 数の原子論
1.5 奇数と偶数
1.6 空きの記号「0」
 1.6.1 記数法:10進数
 1.6.2 指数法則
 1.6.3 記数法:60進法
2章 整数:符号を持つ数
2.1 数としての「0」
2.2 自然数から整数へ
 2.2.1 整数の持つ方向性
 2.2.2 指数法則:整数の場合
 2.2.3 整数の濃度
2.3 暗算の秘術
 2.3.1 法則を探る
 2.3.2 式の展開と因数分解
2.4 パスカルの三角形
2.5 基本的な図形の持つ性質
 2.5.1 太陽光線と同位角
 2.5.2 三角形の内角の和
 2.5.3 地球を測った男
 2.5.4 図形の等式:合同とは何か
 2.5.5 図形の拡大と縮小:相似とは何か
2.6 三平方の定理
 2.6.1 ピタゴラス数
 2.6.2 プリンプトンNo.322
2.7 フェルマー・ワイルスの定理
3章 有理数:比で表せる数
3.1 分数の加減乗除
 3.1.1 足し算・引き算
 3.1.2 掛け算・割り算
3.2 電卓のホラー表示
3.3 小数の種類
 3.3.1 有限小数無限小数
 3.3.2 循環小数の「新しい表現」
3.4 少数の表し方
 3.4.1 10進数の指数表記法
 3.4.2 2進数ととエジプトの数学
 3.4.3 2進小数
3.5 電卓の誤差
3.6 小数と分数:相互の変換
3.7 計算の精度
3.8 バビロニアン・テーブルの秘密
3.9 有理数の濃度
4章 無理数:比で表せない数
4.1 帰謬法の考え方
4.2 無理数と少数の関係
4.3 ギリシャの思想と無理数
 4.3.1 タレス
 4.3.2 ピタゴラス
 4.3.3 もう一つの粘土板
 4.3.4 プラトン
 4.3.5 洞窟の比喩とイデア論
4.4 平方根の大きさを見積る
4.5 無理数の居場所
4.6 無理数有理数の関係
 4.6.1 指数法則:有理数の場合
 4.6.2 無理数を近似する有理数
 4.6.3 指数法則:無理数の場合
4.7 数を聴く・音を数える
 4.7.1 ピタゴラス音律
 4.7.2 純正調音律
 4.7.3 十二平均律
4.8 無理数の「循環する表現」
5章 実数:連続な数
5.1 実数の連続性
 5.1.1 繰り返し計算の行き着く先
 5.1.2 数の減り方
5.2 実数の濃度
5.3 数と方程式
 5.3.1 式に関する用語
 5.3.2 一次方程式の解法
 5.3.3 方程式と関数
5.4 座標と関数のグラフ
 5.4.1 グラフと座標
 5.4.2 一次関数のグラフ
 5.4.3 連立方程式とグラフ
 5.4.4 座標の交換
5.5 等号の意味と怪しい用法
 5.5.1 等号の用法
 5.5.2 英文法と等号
5.6 実数の濃度と平面の濃度

虚数の情緒